無の探求

ひねくれすぎて社会に馴染めなかったぼっちフリーランス(Webライター)の根暗ブログです。記事テーマはゲーム、ライター関連、ネットの話題など色々。2017年7月18日ブログ開設。

MENU

時給500円稼げると噂のゲーム配信サイト「Mildom」の今後を予想する

どうも、NathVieです。

前回のGameWithの件に続き、またまたスカウト案件が届きました。送り主の名は「Mildom(ミルダム)」といい、YoutubeやTwitchのようなゲーム配信の新たなプラットフォームとして台頭したようです。今回はそのMildomについて色々とまとめてみます。

 

「Mildom(ミルダム)」とは

f:id:nathnath:20191019005603j:plain

www.mildom.com

公式ページの会社概要にはこのように書かれており、設立は僅か2か月前。ちなみに「DouYu」は中国でのNo1ゲーム実況配信サイトで、いわば「中国版Twitch」といったところ。今回はそれが日本向けに上陸してきたわけである。

ちなみに中国はYouTubeやFaceBookなどといった世界規模のツールやサイトを国内でアクセス禁止にしており、DouYuが中国No1のプラットフォームになったのもその影響が非常に大きい。海外ブランドを排除する理由は「国内市場の独占」や「情報の統制」である。簡単に言えば「輸入はしないが輸出はする」という感じで、今回の「Mildom」も自国で成功を収めた勢いで日本も侵略せんとする試みかもしれない。

時給500円のインパクト

Mildomの応募ページにはこう書かれている

f:id:nathnath:20191019011408j:plain

報酬に関して要点をまとめるとこんな感じ

  • 配信1時間毎に500円(最大1500円まで昇給あり)
  • 1日最大4時間分まで支払い可能(2000~6000円)
  • 最低でも90分以上は配信しないと報酬カウントなし
  • 無言配信はNG

この要件を満たしてさえいれば、たとえ視聴者が0人だろうと報酬が発生する。ビジネスとして破綻しそうなのは言うまでもないが、それを可能にするのがチャイナマネーの怖いところ。そして「公認配信者」制度も存在し、その実力に応じて固定給が支払われる。YoutubeやTwitch同様に投げ銭機能も存在するため、固定給も合わせればかなりの額を稼ぐことが可能なのかもしれない。

 これは10月18日の公式ツイートの引用だが、「時給500円」というフレーズがまとめサイトで拡散された影響で「配信者の卵」が大量に流入したようだ。しかしこれは配信者の人数であって「視聴者層」が増えたとは言い難い。私から言わせてもらえば、時給目当てで登録する層が他者の配信をわざわざ見るとは思えないのだ。言ってしまえばゲーム動画をただ垂れ流して小銭を得たいだけの怠け者が大半である。この5000人の中で「本気で配信を頑張る」のは本当に一握りだろう。そして当然ながら何の知名度もやる気もない彼らに広告効果は一切なく、視聴者層増加に貢献することはまずない。まさに金ドブである。

ちなみに私のところに来たスカウト内容だと、30代会社員の平均月収をダブルスコアで上回るほどの月額固定給を提示されて正直ドン引きである。当時アイスボーン特需で一番勢いのある時期だったとはいえ、どう見ても過大評価である。私程度でその額を提示されるのならば、登録者が100万人クラスの配信者ならプロアスリート並の年俸を提示されているかもしれない。チャイナマネーは恐ろしい。

金で囲われる配信者

世界クラスのストリーマー(配信者)だとFORTNITEで有名な「Ninja(ニンジャ)」や、各種FPSタイトルのプロゲーマーで有名な「shroud(シュラウド)」がいる。彼らはTwitchのスター的存在でその影響力は計り知れないが、2人とも現在はTwitchから離脱してしまった。

ではどこにいるのかと言うと、Microsoftが運営する新たな配信プラットフォーム「Mixer」だ。移籍に至った経緯についてはこのページで詳細が綴られている。

https://automaton-media.com/articles/newsjp/20191003-103182/

 Twitch側との交渉が上手くいかなかったことや配信環境への不満など理由は様々ある。しかしその中でも目を引くのはやはり数億と言われる契約金であり、フォロワー数が1000万人を超える彼を引き抜ければプラットフォームを牽引する存在になり得るのだ。活動の場を移すのは配信者にとってリスクが大きいが、多額の契約金はその決断を後押しさせる。

Mildomが引き抜いた広告塔

恐らく多くのYoutuberが多額の報酬でスカウトされたと思われるが、Mildom運営が広告塔として宣伝しているのはプロゲーマーチーム「父ノ背中」である。

 画像の3人は今までYoutubeでの配信がメインだったが、契約と同時に「今後はMildomをメインに配信していく」と宣言。つまりは独占契約に近いものだと思われ、規模も考えると私の時とは比較にならないほどの額が提示されたと予想される。

しかし現実はそう甘くはない。個人で10万のツイッターフォロワーを抱える彼らでも、既に地盤が固まっているYoutubeから視聴者を誘導するのは難しい。

f:id:nathnath:20191028162205j:plain

これは広告塔となった父ノ背中メンバーの一人「ダステル」氏のMildomトップページ画像。ちなみに彼のYoutube登録者数は31万人でツイッターフォロワーは12万人である。これほど多くのファンを抱える彼でも、他所から移動してきたファンの数は4000人程度。告知も行いMildomでの配信もそれなりの頻度で行っているようだが、現状での視聴者数は100~300人程度しかいない。Youtubeでの配信なら1000人は余裕で超えてくるはずなので、比較するとやはり見劣りするのは言うまでもない。

 そして父ノ背中との契約告知から3日後に告知されたイベントはまたしてもセコいお金絡み。こんなその場限りの集客を行っても乞食が寄ってくるだけで、おそらく長期的な視聴者増加にはつながらない。更に気になるのはこの配信が10月23日(平日の水曜)の13時という大多数の人が視聴できない時間帯に行われ、告知自体も当日であまりに遅いという点。初の運営主催イベントがこの有様では、担当者が配信事業に関して素人なのではないかと思わざるを得ない。

視聴者が求めるもの

MixerやMildomのように新規に立ち上げた配信プラットフォームに一番必要なものはズバリ「視聴者」だ。しかしYoutubeやTwitchなどといった強力なライバルが既にシェアを独占しているため、視聴者を増やすには奪い取るしかない。そのために他所から有名人を引き抜き、そのファン層を自分のフィールドに誘導するのである。

しかし、これは完全に運営側の都合であって視聴者側の都合は完全に無視されている。配信者が自分の活動場所を選ぶ際は「利便性」と「収益性」の2つが柱になるが、視聴者は当然ながら収益などないので「利便性」さえ優れていればそれでいい。この時点で配信者と視聴者の間には溝があるといっても過言ではない。

現状でYoutubeやTwichがシェアを独占しているのはその利便性の高さからくるもであり、それに伴い利用者も増えて収益率(広告収入や投げ銭など)も上がる。つまり収益率は「ユーザー視点での利便性」が高くないと期待できない部分なのである。Mildomのように「時給制+固定給」の場合は利用者の数が収益率に影響しにくいが、プラットフォームとして盛り上がるためにはやはり利便性は必須項目。どんなに好きな配信者でも、現状より環境の悪いプラットフォームに移籍されれば「金に目がくらんでファンを切り捨てた」と失望する者もきっと出てくる。そして規約によるとMildomは「他配信サイトでの同時配信禁止(リアルタイムでの同時配信)」で「配信アーカイブの著作権もMildom側に帰属」する。これだけの制限が加わるデメリットを考えれば、よほど高額な固定報酬が約束されない限り公認配信者として契約するメリットはほぼ無いと言える。

Mildomの現状と今後の予想

f:id:nathnath:20191028165840j:plain

まずは上の画像を見てほしい。これは10月半ばのゴールデンタイム(21時頃)に撮影したMildomトップページのスクショなのだが、トップに表示される人気ライブカテゴリですら10人前後の視聴者しかいない。まだサービスインから1か月ほどしか経ってないとはいえ、あまりの過疎っぷりに泣けてくるレベルである。この状況でも彼ら彼女らには時給500円が支払われるのだから、現時点ではビジネスとして間違いなく崩壊している。

ではなぜここまで人がいないのか?それは単純に「利便性の問題」からだろう。特に致命的なのが「検索機能が実質存在しない」という点。検索できるのはユーザー名とIDのみで、配信タイトルやゲーム名などは検索できない。これでは好きな配信など探せるはずもない。

f:id:nathnath:20191028172547j:plain

 カテゴリーのページは用意されているものの、個別で設定されたタイトルはたったこれだけ。スマホゲームのカテゴリに至っては数本しか用意されていない。ちなみに私に来たスカウト文章には「MHWIの配信を見て非常に魅力を感じた」と書かれていたが、モンハンのカテゴリーなど用意されていなかった。こんなFPSやバトロワがメインのところでモンハン配信しても間違いなく誰も見に来ない。場違い感が半端じゃない。どうみても「うちでモンハン配信してくれ」というスカウト内容だったのにカテゴリすら用意してないのは流石に酷いのではないか。

現状から言わせてもらえば、Mildomは完全に「コケるコンテンツ」と見て間違いない。YoutubeやTwitchの視聴者がここに移住するメリットがまるで存在せず、配信者も広告塔のチームを除けば無名の小銭稼ぎしかいない。

Mildomはサイト構造からみても未来のスターが生まれる作りになっておらず、トップページからして広告塔の有名人にしか注目が行かないデザインにされている。そして基本的に動画投稿ではなく配信のサイトなので、Youtubeのように投稿した過去動画からファンが増えていくことも基本的にない。配信アーカイブは一応残せるようだが、1時間超えが当たり前な上に無編集で見づらいライブアーカイブを動画としてフル視聴する者などほぼいない。つまり、新人がファンを増やすには最悪の環境なのである。利用者が少ないので新参でも人目に付きやすいのは間違いないが、視聴者10人でチャットが一切ない配信をトップ表示するのはもはや晒し者も同然である。ここから芽が出る新人がいるとは正直思えない。

まとめ

このツイートでMildom公式が言うように、時給500円というフレーズは初心者にはハードルの高い配信業界に一石を投じた。しかし、結局は金で配信者を囲い他サービスからユーザーを奪おうとしているだけである。

利便性で見れば他サービスに大きく劣るのは明らかで、業界の成長に貢献する意思があるとも思えない。そして金の匂いが濃すぎて、ただでさえ世間的に理解されにくいゲーム配信のイメージが余計に悪化するのではないだろうか。Mildomが大金で大物を囲えば囲うほど、配信者からファンが離れて逆に業界が衰退していくのではないかと私は思う。