無の探求

ひねくれすぎて社会に馴染めなかったぼっちフリーランス(Webライター)の根暗ブログです。記事テーマはゲーム、ライター関連、ネットの話題など色々。2017年7月18日ブログ開設。

MENU

【SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE 隻狼】は「ハイリスクなリズムゲーだ」

ダークソウルシリーズで有名なフロムソフトウェア発売の新作「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE 隻狼」をクリアしてみてのレビュー記事です。非常に面白いゲームでしたが色々と思うこともあったので、まとめることにしました。

 

SEKIROの難易度について

このゲームはプレイヤーから「ダークソウルやブラッドボーン以上に難しいゲーム」と評されており、クリアしてみて私もそれを痛感しています。しかし、難しいといってもダークソウルとは方向性の違う難しさです。

まずこのゲームの攻略法は基本的に2つです。1つはよくあるアクションゲームのように「敵の体力を削る」という方法。どんな武器でどう削るかで攻略法は分かれますが、SEKIROにおいてこの当たり前の倒し方はほぼ機能しません。なぜかというと、敵はどんな雑魚であってもほぼずっとガード状態でまともに攻撃が通らないからです。そこで2つ目の手段「敵の体幹を崩して忍殺で即死させる」というSEKIROの醍醐味の登場になります。

これは簡単に言うとスタミナキルで、攻撃を弾いたり見切りでカウンターしたり、ガードの上から斬り続けたりで体幹が崩れた敵は一撃で倒すことが可能。この仕様はボスであっても同様で、むしろこっちがこのゲームにおける正攻法となります。基本的に体力を削るのは倒すためではなく、体幹ゲージの回復を阻害するためです。しかし、この体幹削りは基本武器の刀に99%依存した多彩さのない攻略法でもあります。

ほぼ全ての敵で完璧な「見切り」が要求される

弾きはいわゆるジャストガードで、成功すると敵の体幹を大きく削ることが可能です。普通にガードした場合はこちらの体幹が大きく削られ、雑なプレイをすれば敵の体幹を削り切れず(間があると敵の体幹は回復していく)ただひたすら自分の体力と体幹が危うい状況が続きます。

他のゲームであればジャストガードは上級者向けテクニックだとは思いますが、SEKIROではこの「弾き」が安定してできないとまるで話になりません。雑魚敵であってもガード不可能の危険技を当たり前に持っており、食らえばHPの半分が消し飛びます。その危険技は見切りでカウンターを決めることも可能ですが、失敗すればもちろんこちらが大ダメージ。そして弾きも見切りカウンターもせずHPキルする場合はそこら辺の雑魚1体でも数分かかりかねない。それがSEKIROのゲームバランスです。そして敵のモーションを覚えると完全に弾きがリズム化するため、突き詰めたSEKIROはハイリスクなリズムゲーになるわけです。

ヒット&アウェイではなくヒット&ジャストガード

多くのアクションゲーの基本戦術はヒット&アウェイ、つまり「一撃離脱」です。敵の隙を伺い、ワンパン入れてすぐ逃げるのを繰り返すのが大原則。しかしSEKIROにおいてこの戦術はナンセンス。

「攻撃は最大の防御」という言葉はこのゲームにピッタリで、SEKIROは「如何に攻撃し続けるか」が非常に大切です。攻撃し続けることで敵はガードに徹するようになるので、下手に逃げ続けるよりも安定します。もちろん敵もこちらの攻撃を弾いて反撃してきますが、こちらもそれに対して更に弾きや見切りで反撃可能。つまり、上手くすれば互いに武器が激しく打ち合い火花を散らす戦闘風景になり、他のゲームにはないリアルな剣戟アクションになるわけです。これが非常に楽しい。

唯一の問題は、それをカッコよく行うために求められるPSが非常に高い点。その剣戟こそSEKIROの醍醐味であり攻略の最適解ではあるものの、これは敵の動きを完璧に見切っていないとまず出来ない。つまり、敵の動きを見切れるようになるまでSEKIROというゲームは楽しめない。そして弾きに成功してもこちらの体幹はどんどん削られていく(ガード時よりは消耗しないが)ので、次第にこちらの体幹ゲージも危うくなります。しかし手を緩めれば敵は回復してしまうので、そんな状況でも攻め続けるしかない。つまり攻めるほどどんどんハイリスクになっていくわけですが、後半のボスはそのハイリスクな攻め方じゃないとほぼ倒せないくらい強いです。ヒット&アウェイのチキン戦法が通用するのは所詮その程度の敵でしかないのです。

SEKIROの残念なところ

このゲームはアクションとしての完成度が非常に高く、その難易度の高さゆえ攻略できた時の達成感もダクソやブラボの比ではないと思っています。しかし、クリアしてみて思った残念なところも多々あったのでそこをまとめていきます。

1.探索のワクワク感が少ない

このゲームは最初に貰う刀以外の基本装備がないため、ダクソのように「隠し通路で珍しい武器を発見」といったワクワク感がありません。その代わりに義手忍具が複数ありますが、あくまで補助的なものが多いので刀の代わりになるような代物はなく戦闘の95%は刀頼りになります。

2.流派技がほぼ死んでいる

刀しかない欠点を補うべく用意されたであろう流派技の大半が使い物になりません。隙が非常に大きかったり、形代の消費と性能が見合ってなかったりで結局は愚直にR1を繰り返すだけになります。敵との激しい剣戟においても流派技の必要性がほぼなく、特に強敵と対峙した際はボタン配置のせいで誤爆の危険性まである厄介な代物となりがち。

3.攻略の自由度の少なさ

上で述べたように「敵の体幹を削って忍殺する」という最適解以外で敵を倒そうとすると途方もない時間と手間がかかり、武器や攻撃手段の少なさも相まって攻略の自由度を大きく阻害しています。攻略においてネタもほぼないので無被弾プレイやRTA以外の動画ジャンルが賑わうこともほぼないでしょう。

4.もっとも自由度が高いのは剣戟アクションのないモンスター

このゲームのボスは基本的に武器を持った人間ですが、人間相手の場合は攻略方法が体幹削り前提なので自由度がありません。それに対しほぼHPキルを狙うことになる大型モンスターのボスもいますが、こちらは体幹ゲージをほぼ無視するのでヒット&アウェイなダクソっぽい戦闘になります。皮肉にも、SEKIRO最大の魅力である剣戟アクションのないヒット&アウェイ戦術のボスの方が自由度が高く攻略法も多いのです。毒にして逃げ回るもよし、空中回避からスタイリッシュに火筒で燃やすもよし、人間相手にはほぼ使えない(人間と違いモンスターはガードしないので)隙の多い強力な流派技を使うもよし。むしろジャンプできる立体的な攻略なのでダクソよりも奥深く、対大型モンスター戦に関してはダクソよりも楽しいのではないかと思います。

5.囲まれるとホントにどうしようもない

ダクソシリーズでも複数戦は非常にキツいですが、向こうは攻撃範囲の広い技で薙ぎ払ったり魔法で遠くから処理したりと色々な対策がありました。SEKIROでも仕込み槍の薙ぎ払いや爆竹で広範囲怯みなど色々できますが、これだけではどうしようもないです。ある程度強い敵が複数いる場合はステルス忍殺で1匹ずつ数を減らすしか対策がほぼなくそれを繰り返すのがとてもダルい。おそらく一番最初に会得するであろう「回転斬り」の流派技も「囲まれた際に便利」という説明文に反して産廃そのもの。ほぼ確実にガードされるかアーマー特攻される上に隙もデカいので、むしろ使うと死にます。囲まれた時点で逃げる生き残る道はないのです。

6.周回プレイがただの繰り返し

攻略方法がほぼ固定されており、キャラクターのビルドもないので「次はこの武器や戦法で挑んでみよう」といった周回ダクソのような新鮮味が全くありません。また、数珠玉を落とす中ボスを1周目で既に倒している場合は2周目で再度倒しても「銭袋」しかドロップせず、旨味もありません。これは非常に残念。

7.オンラインプレイがない

これは発売前から情報として出回っていたので今更ですが、やはりオンライン機能がないと飽きが加速します。せめてダクソ並に攻略方法(素手のみとか全裸プレイとか)やビルド構築が多彩であればオフ限定でも周回が楽しめたと思いますが、2周目の時点で既に「繰り返し感」が強く新鮮味に欠けます。ゲームの作りが1周目の楽しさに全振りしすぎて過去のダクソシリーズの良さが生かされていないのが残念です。クリア後に売る人も多そうな予感がします。

SEKIROは本当に人を選ぶゲーム

他の追随を許さない高難易度に加え、1周で基本的に満足してしまう作り。そしてその1周目すら難しすぎてクリアできない人が続出。楽しむうえで必要な前提が非常に多いゲームだということはクリアしてみて痛感しました。「剣戟アクションの部分は最高峰なゲーム」だと思いますが、それも結局はリズムゲー要素が強いのでアクションゲームとして評価することに少し違和感を覚えるのも事実。アンチャーテッドのようなストーリー重視のシネマ演出ゲーでもなく、DMCのような多彩なスタイリッシュアクションでもない。SEKIROはただただ敵のパターンとリズムを覚えてガキンガキンするだけ。それが最も楽しい部分であり開発が最も力を入れた部分なのは明白ですが、最終的にそれしかないことに気付いてしまう虚無感をクリア後に皆が味わうことでしょう。

 

せめてオンラインがあれば…

せめて武器がもっと多ければ…

 

そんな残念な感想がゲーム後半になるにつれて増していきます。楽しいのは間違いないですが、恐らく1週間後には初見実況の需要がほぼなくなって攻略情報も出回り、動画界隈はRTA路線に向かいます。しかしダクソやブラボと違い難易度が非常に高いので「ノーセーブ」「ノー強化」が当たり前なRTA界隈の猛者でさえそう簡単にはいかないでしょう。

少々残念な部分が目立つゲームではありますが、ボスに何時間も挑み続ける精神力と繊細なプレイを常に意識できる集中力があればこのゲームは楽しめます。今現在苦戦している方、そして買おうか迷っている方、ぜひダクソ同様「折れない心」でSEKIROという最強のマゾゲーに臨んでほしいと思います。