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Part1に続き、Part2では2017年に新規リリースされたものの一瞬で爆死していったタイトルたちをまとめました。タイトルによって解説内容の濃さが異なりますが、内容の薄いものは特に目立った事件もなく死んでいったとお考えください。
2017年のDMM GAMESの問題児たち
今年だけでもそれなりの数の新規タイトルがサービスインしていますが、どれも爆死しました。ひっそりと死んでいったモノから、盛大な打ち上げ花火の後に死んだモノまで様々あるので、簡単な解説を交えながら紹介していきます。
ガールズシンフォニー~少女交響詩~
ガールズシンフォニー~少女交響詩~ - オンラインゲーム - DMM GAMES
2017年2月開始。運営はフラワーナイトガールと同じで、全キャラLive2D適用のキャラゲーです。しかし、そのせいで低スペPCのCPU使用率は常に80%を超えていました。
もともとフラワーナイトガールで培ったノウハウがあったため、しばらくはそれなりの順位をキープしていました。しかし、1ヶ月ほどでDUPE事件(アイテムや装備の増殖バグ)が見つかり、再現性が高かったことも災いして不正利用する人が続出します。
課金石も増殖できたため、それでガチャを回しまくる人もかなりいたようです。そのレベルだとロールバックしなければならないはずなのですが、そういった対応は行わずに補填と修正だけで済ませてしまいます。その結果ほとんどの課金者が逃げていき、ゲームの寿命は一気に縮まることとなりました。
バグ以外はシステム的に仕上がっているため、それが気にならない人なら楽しむことは出来ます。しかし、ほとんどの課金者が逃げたことで最早賑わうことはないでしょう。
ヴィーナス†ブレイド レイジング
ヴィーナス†ブレイド レイジング - オンラインゲーム - DMM GAMES
2017年2月開始。トップ画像からもわかるようにテンプレ美少女ゲー無です。
あらゆる面でフラワーナイトガールの劣化版であり、どう足掻いても勝ち目はありませんでした。登録者も3万人どまりで、今後増えていく見通しは全くありません。
ランキングも全くふるわず、そう遠くない未来にサービス終了告知が来そうです。
社にほへと
2017年3月に公式ページがオープン。
「神社」を擬人化したことですぐさま悪い意味で話題となり、各機関からお叱りを受けることとなった問題作。「事前ガチャの不具合」という体で僅か1ヶ月程度で事前登録が停止され、その後はツイッターでの近況報告が主流になるも5月でそれも停止しました。
公式PVも公開停止されており、恐らくこのままプロジェクト自体が白紙になると思われます。流石に神社を敵に回すのはマズかったようですね。キャストが豪華だっただけに残念です。
ハニー×ブレイド
ハニー×ブレイド - オンラインゲーム - DMM GAMES
2017年4月開始。ブラウザゲーなのに3Dモデルを採用した猛者です。しかし、皆の予想通りブラウザゲーで3Dモデルを酷使するのは多大なPCスペックを要求しました。
少なくとも、グラボなしのネットブックや安物ノートではまず動きません。Steamを嗜む生粋のゲーマーたちの自慢のマシンでさえ、PCは爆熱を孕みます。動作が安定しにくいブラウザゲーではそもそも無茶だったんです。
肝心のゲーム内容はというと、「カスタムメイド3D2」にオマケ程度のゲーム性を追加したものです。しかも、どう見てもR版をベースに開発されているため、エロなしの一般版にはそもそも価値がない状態。そしてそのエロも当然ながら「カスタムメイド3D2」に惨敗です。
買いきりで大抵のことができる「カスタムメイド3D2」に対し、課金しないとまともに衣装すら揃わない「ハニー×ブレイド」。もう答えは出ていました。
本タイトルは初登場時ですらランキングが振るわず、数日後にはランク圏外へと消えていきました。
天歌統一ぷろじぇくと
天歌統一ぷろじぇくと - オンラインゲーム - DMM GAMES
公式略称「てんうた」。2017年4月に誕生し、同年7月にてサービス終了予告が行われ8月に死亡内定済み。
内容はテンプレに則った「美少女ゲー無」。安っぽいUIとやたら重い動作、「ただただ苦痛」と称されたゲーム性は散々な評価でした。そして大して話題になることもなく、「気付いたら死んでた」という状態に。それが発覚したのも、とあるプレイヤーが何気なくログインしようとしたら何の告知もなしに「ホーム画面にサービス終了のお知らせが出てた」という有様です。
僅か4ヶ月の短い命となったため、プレイヤーには使用したDMMポイントの返還、及びゲーム内CGの配布が告知されています。CGのクオリティは悪くないので、欲しい方は今のうちに登録だけしておきましょう。
クラッシュ・オブ・パンツァー
クラッシュ・オブ・パンツァー - オンラインゲーム - DMM GAMES
2017年4月開始。戦車がテーマの美少女ゲームです。
テーマ的に完全にガルパンのパクリなのですが、クオリティまではパクれなかったようです。井口裕香や田中理恵をはじめとした豪華声優陣や人気イラストレーターも大量に採用していますが、肝心のゲームが微妙では意味がありません。
いろんな意味でわかりやすい爆死臭がしていたこともあり、今ではランキングの真ん中から下のあたりをうろうろしています。
星のガールズオデッセイ
星のガールズオデッセイ - オンラインゲーム - DMM GAMES
2017年5月開始。「星」を擬人化した「テンプレ美少女ゲー無」です。
取り立てて目立った欠点やバグなどはなかった優等生ではあったものの、それは「ゲー無」としての評価であり「ゲーム」としてはクソゲー以外の何者でもありませんでした。
しいて欠点を挙げれば、無駄に凝った戦略性と装備システムのめんどくささが相まって周回プレイのストレス度合いを大きく上げていました。最初こそそれなりのランキングだったもの、「面白くない」という真っ当な評価を受けて翌週にはランキング圏外へきえていきました。
BRAIN VALKYRIES~三国伝~
BRAIN VALKYRIES 三国伝 - オンラインゲーム - DMM GAMES
2017年5月開始、公式略称は「ブレヴァル」。量産型の「三国志美少女化ゲーム」で、ゲーム性はひたすらポチポチ、どこまでもポチポチ。イラストだけは高評価なのが惜しいです。
この手のゲームではお約束の好感度システムが壊滅的であり、特定のアイテムを使用しての「クイズゲーム」で正解することで上がるシステムでした。
しかしこのクイズ、「1+2=?」や「動物はどっち?(馬と槍のイラスト)」のようなあまりに雑なクイズしか用意されていませんでした。そんな酷いクイズを数百回、しかも数時間かけてクリアしないとキャラの好感度を上げることができず、それに必要なアイテムもそこまで手に入りませんでした。更に、好感度が強さにモロに直結するシステムだったので、プレイヤーは全員このクイズをやり続けることを強いられたのです。
その他のシステムもかなり雑で、開幕スタートダッシュには見事に失敗。更に開始数日で「バグではないスタミナ回復アイテムの無限増殖」まで編み出され、バランス調整の杜撰さも露呈。皆の予想通り数日で爆死しました。初日に一ケタ台のランキングを獲得(新規タイトルは普通そうなる)して自慢げに記念キャンペーンを開始していましたが、翌日には圏外になるというギャグをかましたのも悲惨でした。
圏外になった後も、キャンペーン期間中は「~位達成!特別キャンペーン実施中!」と書かれたバナーが表示され続けたのは皮肉以外の何者でもありません。
ガールズクロスクロニクル
ガールズクロスクロニクル - オンラインゲーム - DMM GAMES
2017年5月開始、公式略称は「ガルクロ」。『G線上の魔王』、『D.C.II ~ダ・カーポII~』、『グリザイアの果実』、『パルフェ ~ショコラ second brew~』、『フローラル・フローラブ』といった人気ギャルゲーのキャラを世界観無視で集めまくったお祭りキャラゲーです。ゲーム性はもちろんテンプレポチポチの量産型。
原作声優の録り下ろしボイスや新規シナリオも用意するなど気合が入っていましたが、もともとターゲット層がニッチすぎたことが災いしてイマイチ盛り上がらず。そもそも原作ファンはブラウザゲーではなく買いきりソフトでの展開を望んでいるはずなので、そのターゲット層にも刺さりませんでした。
また、どのタイトルも「最近の若い人はたぶん知らない」オッサン向け選出だったことも致命傷だったのかもしれません。数年前にアニメ化されたグリザイアならそこそこ知名度はあったかもしれませんが。
結果的に開始と同時に爆死。ランキング上位という日の目を見ることはありませんでした。
XenoMagia‐ゼノマギア‐
XenoMagia - オンラインゲーム - DMM GAMES
2017年5月開始。のはずだった残念な子。
開始と同時にバグ祭りになり、約1ヶ月の長期メンテに突入。同年6月に再開するも、既に存在を忘れられていました。
事前ガチャのページもかなりお粗末だったため、この段階で見切ったプレイヤーも数多いでしょう。肝心のゲーム性も没個性で、これまた話題性に欠けるつくりでした。
しいて言えばイラストの絵柄が独特だったのが個性ですが、それを生かせる地盤が固まっていなかったのは致命傷となりました。ランキングはもちろん圏外で安定し、今後登ってくることもないでしょう。
Dragon Knight5
Dragon Knight5 - オンラインゲーム - DMM GAMES
2017年7月開始。「神姫プロジェクト」でもお馴染み、この業界では悪名高き「テクロス」が放つ渾身の爆死タイトル。
事前ガチャの段階で「あまりに古臭い絵柄」「やたら重いページ」などから爆死臭を漂わせながらも、実に約8ヶ月というとんでもない事前登録期間を経て登場しました。
この事前ガチャはキャラとは別に「スロットコイン」というアイテムも獲得できる仕様でしたが、このスロットコインが使用できたのはなんと「サービス開始前の3日間のみ」という鬼畜仕様。しかも告知は公式ツイッターのみ。案の定気付かない人が多く、この時点で多くの事前プレイヤーが去っていきました。
更に、サービス開始と同時に事前報酬を配れないという致命的な失態を犯しました。おそらくサービス開始時に一番盛り上がるであろう「事前石でのガチャ結果発表」が同コミュニティにて行えなかったため、一番乗りしたプレイヤーたちをガッカリさせたことでしょう。
また、キャラを複数重ねないと好感度イベントすら見られないという時代錯誤のマゾ仕様が早くも露呈。これは排出率一桁のトップレアでももちろん例外ではありません。これにより「やっぱりテクロスはダメだ」とプレイヤーを再認識させるに至りました。
ランキング的には意外と頑張っているようですが、おそらく長くは持たないでしょう。
魔王の始め方
最後を飾るのはおそらく最大の問題児、「魔王の始め方」。公式略称「まおはじ」。
2017年7月開始、そして同月に長期メンテへ突入、現在に至る。
非常に長い事前登録期間がありましたが、ページの出来がそれなりに良かったことに加え「ゲーム内容が一切不明」ということでそれなりに期待されていたタイトルでした。
しかし、いざ開始してみるとゲーム性が「FGOのまるパクリ」という事実が発覚。原作が「ダンジョン作成」を基盤としたシナリオだったのに対し、こちらのゲーム性はそれを一切生かしていなかったことも多くのプレイヤーを呆れさせました。
その後は人口の多いFGOプレイヤーが拡散したことで一気に話題が広がり、各まとめサイトがこぞって「炎上」と銘打って記事にしました。おそらくこの時が「まおはじ」の最大瞬間風速だったことでしょう。
その後は一時的にネタでゲーム開始する人が増えましたが、そのおかげで大量のバグが見つかりました。キャラの増殖まで可能なものもあったため、事は一大事に。そして僅か1週間足らずでバグ修正のため長期メンテへ突入しました。順調に爆死コースを歩んでいます。
ちなみにこのタイトルは「小説家になろう」の作品が元ネタになっていますが、作者はゲームにノータッチだったらしく完全に被害者となってしまいました。しかし、ある意味では一気に有名になれたのでそこはよかったのかもしれません。
ブラウザゲーでヒットするゲームと爆死するゲームの違いとは?
現在の動向を見る限り、ヒットするためにはいずれかの要素に最低でも1つは特化している必要があります。
ヒットするための必須事項
- 戦略的シミュレーション要素に特化している
- キャラがカワイイ
- 寝室性能が高い(R-18の場合)
- SDキャラや戦闘描写などの作りこみがすごい
例えばアイギスやお城プロジェクトは1のタイプで成功を収めたタイトルですし、フラワーナイトガールは1以外の要素を網羅しています。両者は同じ市場にて真逆の方向性で成功したモデルケースとして興味深いですね。
もうテンプレ型のブラウザゲーでは成功できない?
今に始まったことではありませんが、最近のブラウザゲーは9割がた同じスタイルです。それは以下の流れやお約束で構成されています。
最近のブラウザゲーのお約束
- スタミナを消費してクエストに行き、キャラや装備を育て、好感度アイテムでキャラシナリオを開放する。
- 戦闘は基本的に「数値VS数値」のターン制で、単純に火力が高ければそれで勝ててしまうバランス調整。回避や状態異常などは所詮小細工に過ぎない。
- HOME画面は「艦これ」のマイナーチェンジ
もういい加減見飽きた量産型ブラウザゲーですね。
ですが、このテンプレを極めたのが「フラワーナイトガール」です。
ゲーム性は皆無ですが、各キャラの掘り下げやSDのクオリティなどは他の追随を許さないレベルになっています。公式絵師たちがノリノリなのもプレイヤー的には好印象です。力の入れどころも「キャラゲー」として特化させる方向にシフトしているため、2番煎じの後続タイトルは付け入るスキすらないでしょう。
おそらく今後このスタイルのゲームが出てきても、クオリティに関わらずフラワーナイトガールに勝つのはもはや不可能だと思われます。つまり、量産型テンプレのブラウザゲーは今後もリリースと同時に死に続けます。
テンプレ型ブラウザゲーの最適解は「何も考えずに」サクッとプレイできること
最近の爆死タイトルには共通点があります。それは「操作がめんどくさい」ことです。
妙に属性の有利不利が大きかったり、装備の付け替えが毎回必須だったり、戦闘のテンポが悪かったり色々あります。それらは運営目線では「戦略要素」を強めたつもりなのだと思いますが、このテンプレ型だとそれらの要素はストレスにしかならないのです。
また、SDキャラが動くタイプの戦闘が行われるものは基本的にクエストの「委任システム」がありません。なぜかというと、SDキャラのアニメーションこそゲームの売りだからです。
しかし、手の込んだ演出ほど所要時間が長くなり、PCスペック的にも負担が増えやすすくなります。しかも大抵の人は一度見れば満足するため、二度目以降はスキップしたいのがプレイヤーの常です。もっと言えば、クエスト自体をスキップしたくなります。
どのゲームでも最終的に例外なく周回プレイが必須になるので、結果としてゲームの最大の売りの部分が最大の足かせになるわけです。
そもそもゲームとしての面白さが備わっていない「ゲー無」の場合は、極論だと「イラストとテキストとCVさえあればおk」なんです。紙芝居ギャルゲーはこの点では完成されたスタイルだということになります。
でもギャルゲーだと物足りないのである程度はゲーム性が欲しい。そんな我儘なブラゲーマーを満足させるには絶妙な匙加減の「めんどくささ」が必要なため、ブラウザゲーのバランス調整は非常に難しいのです。
まとめ
艦これが活躍する一方、その片隅ではたった半年弱でこれだけの死骸が量産されていったことを皆さんにもご理解いただけたでしょうか。
ブラウザゲーはアタリハズレが本当に極端な世界です。まさに「諸行無常の響きあり」といったところでしょうか。今日の王者が明日の敗者、それどころか明日にはいなくなってるまであります。
それもまたブラウザゲーの醍醐味であり、ある意味では毎日がお祭りのようなものです。この記事を機会に、業界自体が下火になりつつあるブラゲー界にも新しい風が吹いてくれることを願います。